土地購入メモ その1 土地探し編

目次

はじめに

先日土地を購入する機会がありました。初めてのことだったので色々調べて進めたのですが、メモとして残しておくことにします。

※ 一事例をもとに書いているのでかなり主観的であり偏った内容であることに注意してください。

大まかな条件の設定

売りに出ている土地は探そうと思えば無限にあるので、土地を買って何をしたいのかを明確にして必要な条件を絞っていく必要があります。基本的な条件としてまず、場所・面積・価格の希望を設定します。

場所は完全に好みです。具体的な地名が決まっていない場合は、求める条件から絞ります。今回は東京にアクセスしやすくて民家が密集していない・自然が豊か・それなりに広い土地が欲しかったので、東京から電車で行ける地域をさがしました。テレワーク導入によりこういった需要は増えているみたいで、「東京 ○分 田舎」だとか「東京近郊 田舎暮らし」などと検索すると結構情報がヒットします。特に【ほどいなかへ移住】程よい田舎に住む、という選択は参考になりました。「ほどいなか、東京から1時間30分エリア」地図を眺めてみると色々発見があります。最終的には、新幹線込みで1時間30分エリアを抽出して検討しました。新幹線込みだとここまで広がります(車両によって時間が異なるので大雑把なリストです)。

  • 【東北新幹線】大宮・宇都宮・那須塩原・新白河・郡山・福島
  • 【東海道新幹線】新横浜・小田原・熱海・三島・新富士・静岡
  • 【上越新幹線】大宮・熊谷・本庄早稲田・高崎・上毛高原・越後湯沢
  • 【北陸新幹線】大宮・熊谷・本庄早稲田・高崎・安中榛名・軽井沢・佐久平・上田

静岡あたりまで行ってしまうと逆に都会成分が強くなりますが、その間のエリアだと東京に出やすいかつ自然豊かといういいとこ取りがしやすいです。行ったことのない土地はGoogle MapやGoogle Earthを駆使して雰囲気を掴みます。

場所の候補が決まったら、不動産検索サイトで検索して取引されている面積と価格感を掴みます。土地の購入には住宅ローンは使えないので基本的に現金一括で用意する必要があります。

不動産検索サイトでは取引済みのケースを調べることはできませんが、国交省の土地総合情報システムで実際に行われた取引価格を調べることができます。エリアごとの取引件数や価格・面積・坪単価・接道状況などを一覧できるので相場の把握に有用です。

面積を数字で見てもわからない場合は、今住んでいる土地や近くの駐車場などの面積をGoogle Mapで測って数字と自分の感覚を合わせます(右クリックして「距離を測定」を選びコーナーをクリックして囲むと面積が出ます)。

また、検索すると土地の傾向もわかってきます。以下は個人的なメモ。

  • 奥多摩の土地はあまりオンラインに載っていない
  • 新横浜も場所によっては畑が広がり、結構田舎感がある
  • 熱海は新幹線を使い40分強で行けるが、全体的に地形が険しく広い土地は少ない(生活大変そう)
  • 熱海から乗り換えで伊東という選択肢もあり(熱海まで新幹線を使えば1時間30分エリアに入る)、熱海よりは険しさが少なく広い
  • 茨城・千葉・山梨は新幹線駅がないので時間/距離は不利
  • アクアラインは強風による通行止めに注意
  • 広い土地はソーラー発電用途ですでに買われており思ったより数がない
  • 人気エリアは結構売買があるので本気で探すなら毎日チェックする必要がある

細かな条件での絞り込み

大まかな条件で探したら、さらに目的に応じて詳細を確認する必要があります。ただし、あまりに条件を絞りすぎると探すのが困難なため、絶対に満たすべき必須の条件を決めておき、その他の条件は優先度をつけておいて妥協できるラインを設定しておいたほうがいいでしょう。

以下に挙げた項目は検索サイトだと細かいことが載っていないことが多いので、自分で調べたり不動産屋や売主に確認が必要です。

法規制

建物を建てる場合は色々な法律に縛られます。自分の土地だから自由にできるというわけではありません。代表的なものを挙げます。

  • 都市計画法:市街化調整区域に当たる土地は原則建物を建てられません。また、防火地域に当たる場合は建材に制限があります。
  • 建築基準法:接道義務を満たしていない場合は再建築不可です。建てられる場合でも、建ぺい率や容積率、高さなどに制限があります。
  • 農地法:農地は農家以外が買い取ることはできません。また、農地は建物を建てられません。農地転用という手続きで農地以外の土地に変更すれば売買や建築ができますが、難しいとされています。
  • 景観法:場所によっては景観条例があり、見た目や高さなどに制限を受けることがあります。近くのコンビニの看板が茶色になっている場合は、景観条例の可能性が高いです。
  • 森林法:森林を買う際特に注意を要するのが保安林に指定されている場合で、木を刈ったり整地したり土地に手を入れることができません(届出をだして伐採できますが伐採後に植栽義務があります)。この場合実質的に土地利用ができません。

自治体によってがけ近くの建築について規制もあります(通称がけ条例)。他にも場所によっては古都保存法など様々な規制があります。買う前に確認しましょう。

インフラ

住むのか、畑にするのか、店を開くのか、など利用用途によって必要なものが変わります。

電気が引かれていないので購入後に引こうという場合は、本当に可能なのか購入前に確認してください。他人の土地に電柱を立てたり電線を通す必要がある場合は関係する土地の所有者の同意がすべて取れていないと電力会社は工事してくれません。土地の所有者が不明だったり連絡がつかない場合もあるので、その場合は実質的に電気を引けません。

水道は田舎だと上水道が来ていない場合も結構あり、井戸を掘る必要があります。井戸を掘っても水質が悪いと使えませんし、枯れることもあるので注意が必要です。近くに上水道が通っていても、敷地まで来ていない場合は水道加入金と工事が必要です。電気と同じように、他人の土地をまたぐ場合は面倒なことになります。また、下水道が整備されていない場合は浄化槽の設置が必要です。

ガスは田舎だとほぼ都市ガスは通っていないのでプロパンを買うことになります。また、ガスが来ていないが電気が使える場合はオール電化という手もあります。

ネット環境は、場所によって様々です。光回線が引ければベストですが、最近は据え置き型の無線ホームルーター(例えばhome 5G)なども登場しているので、無線でギガビット級の速度が得られることもあります。テレワークするなら、ネット環境は他のインフラ並みにこだわっておきたいポイントです。

建築条件付き土地

建築条件付き土地という売られ方をしている土地もあります。土地購入後、決められた期間内に指定された施工業者で家を建てなければいけないというものです。ケースバイケースで条件が異なるので確認が必要ですが、買主側がかなり不利な条件なので注意しないといけません。

移動手段

田舎でも駅周辺であればどうにかなる場合がります。しかし一般的に車が使えると選択肢が格段に増えます。

もし車を利用できない場合は、利用可能な公共交通機関を念入りに確認してください。 免許を持っていない場合でも、土地を探す段階ではレンタカーやタクシー利用で見学にいくことはできるので、土地探しをしつつ並列して免許を取得しましょう。

ランニングコスト

以下のお金は所有している限り永久に払い続ける必要があるので注意です。土地は流動性が低く、ランニングコストが負担になって手放そうとしてもすぐ処分できない可能性が高いことを頭に入れておきましょう。

固定資産税、都市計画税

土地と建物の両方に対して固定資産税が毎年かかってきます。市街化区域にあたる場合はさらに都市計画税がかかってきます。土地の方にかかる固定資産税は田舎の場合は大した額にならない場合が多いですが、買ってから慌てないように事前に評価額を聞いておきましょう。

別荘管理費

別荘地の場合は(別荘を建てていなくても)、固定資産税の他に別荘管理費が数万円/年かかってくる場合があります。共用井戸を使う場合はさらに利用料がかかってくることもあります。

家屋敷課税、事業所課税

住民票がない自治体に事業所または家屋敷を所有している人には個人住民税の均等割分が課税されます。自治体によって5000円から6000円くらいになります。別荘など、すでにある住居に加えて不動産を取得した場合に当てはまります。

周辺施設

周辺エリアの店やインターチェンジ、駅、病院など重要な施設を確認しておきましょう。

探し方

不動産検索サイトはものによって掲載物件や検索で指定できる項目の有無や選択肢の細かさに違いがあるので、いくつかのサイトで検索して目的の物件を探しやすいサイトを探しましょう。

大体の物件はホームズやSUUMO、アットホームといったよく目にするサイトで探せますが、一部専門サイトのみ掲載の物件もあります(例えば山林バンクふるさと情報館など)。無数にある専門サイトは一括検索ができないので、まず専門サイトにたどり着くためGoogle力が試されます。

また、物件を探す際は「土地」と「住宅」で最初にカテゴリを選んで探すようなUIになっているサイトが多いですが、「土地」のほうは敷地に建物がある古屋ありの物件も載っています。中には少し手を入れれば十分使えるものもあります。反対に「住宅」の物件でもボロボロすぎて解体しないと使えないもの(実質的に土地しか価値がない物件)もあります。このように両者のカテゴリ分けは結構いい加減です。したがって、土地が欲しい場合でも中古住宅が欲しい場合でも、「土地」と「住宅」両方のカテゴリをチェックしたほうがいいでしょう。

地元の不動産屋に聞くという方法も紹介されていたりしますが、別荘があるようなリゾート地に限っては逆に東京の不動産屋のほうが扱っていたりします(別荘地は地元の人が買うより東京の人が買うという場合が多いためと予想されます)。

良さそうな物件が見つかったら見学に行きましょう。見学編へ。

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